インプラント治療をする前に知っておくべき7つのデメリット

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インプラント治療は一般的な歯科治療とは異なり専門性の高い治療ですが、既に長い歴史をもち十分な臨床を重ねて確立されたものです。

しかしながらインプラントにはいくつかの注意すべきデメリットがあります。ここではプロの視点から正しい知識をお伝え致します。

【デメリット1】医院の選択が困難

実はインプラント治療は非常に多くのトラブルが報告されています。

本来十分な経験が必要な治療法にもかかわらずインプラントメーカーの主催する短期(2~4日)のセミナーを受講しただけで治療メニューにあげている歯科医師が実際かなり多くいるのがその原因のひとつだと思います。

日本歯科医学会が2012年に行なった調査では、インプラント手術を行なう歯科医のなんと6割がトラブルを経験していること、さらに約25%が神経マヒ、異常出血等の重大なトラブルを起こしていたとのことです。

NHK クローズアップ現代「歯科インプラント トラブル急増の理由」

したがって治療を受けるにあたっては歯科医師の選択が非常に重要になりますが、ホームページなどネットで得られる情報から信頼性を正確に把握することはなかなか難しいのが現状です。
最低限下記の項目をチェックしましょう。ある程度信頼性の目安となります。

①インプラント学会の資格を保有
②治療症例数が多い
③歯科用CTがある

【デメリット2】適用外の可能性

十分に経験の積んだ歯科医師ならインプラントの手術自体はそれほど難しいものではありません。

実際かなりの高齢者であっても治療が可能で80代の方が治療を受けられることも珍しくはありません。

しかし、重度の糖尿病や歯周病、骨粗鬆症等の方はインプラント治療の適用外となる場合があります。実際の治療の可否は専門医が診察の上判断してもらうことになります。

近年の研究では、糖尿病と歯周病は密接な関係にありそもそも歯周病が糖尿病の一因であるともされています。

厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病と全身の状態 糖尿病と歯周病の双方向性」

また骨が少ない人はそのままでは治療が難しい場合がありますが、骨を増やす技術はかなり発達してきていますので経験を積んだ歯科医師なら大体は問題なくできるはずです。

【デメリット3】外科手術である

インプラントの手術は外科手術のため、前日の注意事項から当日の誓約書のサインまでわりとシリアスな雰囲気があります。

インプラント治療では顎の骨にドリルで穴を開けてインプラント本体を埋め込みますので、入れ歯やブリッジに比べると患者の負担が大きくなります。

しかし手慣れた歯科医師なら実際1本につき15分~20分程度、一般的な2~3本の埋入手術なら前後の時間も含めて長くても1時間ほどでで終わります。

実際それほど苦痛や負担を感じるほどではありません。ちょっとハードな虫歯治療を受けたくらいの感覚という人もいます。

【デメリット4】失敗リスクがある

インプラント治療の成功とは一般的に5年、10年単位で経過を見てインプラントがしっかり機能していることを意味し、上顎と下顎では成功率が異なり上顎の方が成功率が若干下がります。

とはいえ、5年成功率は一般に上顎で約90%程度、下顎で95%以上とされており、難症例でなければまずまず安心な治療法ではあると言えるでしょう。

【デメリット5】治療期間が長い

インプラント治療は一般的に3つのステップで完了します。それぞれのステップの間に所要の期間を取る必要があるためトータルではかなりの時間を必要とします。

①インプラントの埋入手術(1日)
 3か月~8か月
②アバットメント連結部の装着手術(1日)
↓ 2週間~6週間
③クラウン(上物)の装着手術(1日)

埋入したインプラントが骨としっかりと結合するのを待つ①と②の間が最も長く、これは年齢や骨の状態、インプラントの場所などによりかなり個人差がありこの期間の長さが総治療期間の長短を左右することになります。

【デメリット6】保険がきかない

インプラントは保険が適応されないため入れ歯やブリッジに比べて費用の負担が大きくなります。また自由診療であり料金は医院が自由に設定できるため総費用には大きな幅があります。

またインプラント本体の費用だけでなく、その他手術代・麻酔代など複数の費用項目があり何にどれだけお金がかかるのか患者側から非常にわかりにくいのが現状です。

インプラントの標準価格とは?
ホームページや広告を見るとインプラントの料金は1本につき15万~60万円程度と医院によって大きく差がありますが、日本歯科医師会などが推奨する価格帯である40万~45万円が適正価格であると思います。

非常に高額ですが、インプラントの寿命は通常10年以上ありますので長期的な観点から判断すべきだと思います。

健康保険は適用外ですが、医療費控除はもちろん適用されますので上手く使うことをおすすめします。

【デメリット7】歯周病リスク増加

実は天然歯だけでなくインプラントも歯周病になります。さらにはインプラントは天然歯よりも抵抗力が弱く細菌に感染しやすいといわれています。

また一旦歯周病にかかるとその進行が非常に速く最終的にはインプラントが抜け落ちてしまうことになりますので十分な注意が必要です。

そのためには定期的に歯科医院に通ってクリーニングをおこないプラークコントロールをする必要があります。

ただこれは通常の歯でも必要なことですので特に大きなデメリットというわけではないかと思います。

なおタバコを吸う方は歯周病のリスクが大きく上がりますので禁煙することが大前提となります。

【まとめ】

インプラントはQOLに長期にわたって非常に高い効果をもたらす治療法である反面、リスクや費用などいくつかの考慮すべきデメリットもあります。

治療を検討する際にはその点を十分に理解した上で判断しましょう。



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