インプラントの寿命は半永久的!長持ちさせる為の3つのコツ

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インプラント治療は歯が根っこから抜けてしまったときに、金属製のネジを歯茎に埋め込み、その上から人工の歯を被せる治療です。

第二の永久歯と呼ばれ、入れ歯やブリッジの欠点を解消する新しい治療法として近年急速に普及が進みましたが、自由診療で高額なため寿命はどれくらいなのか気になっている人も多いと思います。

実はインプラントは天然の歯と変わらないくらい違和感なく強く噛めることだけでなく、他の歯に負担をかけず長持ちするというのも大きなメリットの一つなのです。ただし、長持ちさせるためには気を付けるべきポイントもありますので詳しく解説します。

1.インプラントの寿命は半永久的

1-1.インプラント自体は錆びたり溶けたりするものではない

現在インプラント本体の素材として使われているのはほとんどがチタン製です。チタンという金属は非常に硬くて丈夫で金属の中で最も錆びにくく、金属アレルギーもほとんどありません。その優れた耐久性、耐腐食性から最近では結婚指輪の素材としてもよく使われています。

上部構造(上に被せる人工の歯)は基本的にセラミックになります。中でも全て陶器で作られたオールセラミックが主流でこれは溶けたり腐食しないのはもちろん着色による色の変化もほとんどありません。

このようにインプラントは基本的には経年劣化しない丈夫な素材でできています。

1-2.少なくとも10年間は問題なく機能して当たり前

インプラント本体を製造するメーカーは全世界で200社以上存在しますが、世界初のインプラントを開発したノーベルバイオケア社をはじめととする業界でトップシェアをもつ大手メーカー各社は、40年を超える自社製品の臨床データを詳細に公開しています。

そのデータによるとトップメーカーの製品はいずれも10年以上インプラントが問題なく機能している確率は、90%以上になっています。

インプラントを実施している歯医者さんのHPで“インプラント10年保証”を謳っているところを良く見かけますが、それはこれらのデータを根拠としているのです。

1-3.入れ歯とブリッジと比較して圧倒的に長持ちする

入れ歯やブリッジはその構造上どうしても数年で何らかのトラブルが起こってしまうという問題がありましたが、インプラントは適切な治療と継続的なケアがあればとにかく長持ちするものです。

1960年代に世界で初めてインプラント治療をしたスウェーデンの男性は、そのインプラントで亡くなるまでしっかりと噛んで食事をしていました。その期間は実に40年以上でしたが、製品や技術の改良が進んだ現在ではまさに半永久的に機能するという治療になっています。

2.インプラントの寿命が短くなる3つの原因

2-1.歯周病で回りの骨が溶ける(インプラント周囲炎)

難しい名前がついていますが、これはつまりインプラントの歯周病のことです。歯周病は歯ではなくその周りの歯茎などの歯周組織がかかる細菌の感染症なので、天然の歯と同じような構造をしたインプラントでも同様に歯周病になります。

問題なのは、天然の歯が元々もつ歯周病菌に対する防御機能がインプラントにはないことです。そのためインプラントは普通よりも歯周病の影響を受けやすいのです。

2-2.インプラントが破損する(折れる/割れる)

インプラントの素材として主に使われているチタンは非常に頑丈で壊れにくい金属ですが、人間の噛む力は想像以上に強く、1本の歯につきその人の体重と同じくらいの力で噛むことができます。

インプラントは第二の永久歯とも言われるほど、天然の歯と遜色ないくらい、違和感なく強く噛むことができます。天然歯でも誤って小石などを噛んで根っこが割れてしまうことがありますが、インプラントも無理に強い負担がかかると割れたり折れたりすることがあります。

2-3.上部構造(人工歯)が破損する(欠ける/割れる)

インプラントの被せものは基本的にセラミックになりますが、素材の特性上、どうしても欠ける可能性があるという弱点もあります。

見た目を気にしないのであれば、ゴールド(金)の被せものにすれば欠けるということはなくなります。ちなみにインプラントは自由診療なので、保険の銀歯を使うことはできません。



3.インプラントを長持ちさせるための3つのコツ

3-1.担当医の指示のもと定期的にメンテナンスに通う

これは大変重要なポイントなので、患者さんにとって良い治療をしたいという思いのある先生であれば、必ず治療前に口を酸っぱくして言われます。

また、ほとんどの歯科医院で定期的な通院をインプラントの保証の条件としています。どんなに完璧な手術をしてもメンテナンスが至らなければ早晩ダメになってしまうのがインプラントなのです。

これを聞くと「面倒だ」と思う人も多いと思いますが、実際にはそれほど大変なことではありません。内容としては咬み合わせの調整と歯周病ケアのためのクリーニングです。頻度としては、手術後2~3年は3ケ月に1回程度、その後は年に1~2回ほどで、時間は毎回30分くらいでしょう。費用は、インプラントは自由診療なのでメンテナンスも保険がききませんが、高くても1回5,000円です。

歯科ゼミとしては、インプラント治療をしていなくても、お口の健康を維持するためには3ケ月に1回くらいは歯医者さんに通って頂きたいと思っています。

3-2.しっかりと歯磨きをする

歯医者さんでの定期的なメンテナンスはもちろん、毎日のご自宅でのケアが大切です。歯を失ってしまってインプラント治療をしたということは、その部分は元々歯磨きが上手くできていなかった可能性が高いです。

せっかく高いお金を出してインプラント治療をしたのであれば、それを長持ちさせてこれ以上歯を失わないために最低限毎日の歯磨きとデンタルフロスでの歯間のお掃除は心掛けましょう。

3-3.咬み合わせを整える意識をもつ

インプラントは天然の歯を同じように強く噛めるというのが大きなメリットですが、それゆえにお口全体の咬み合わせのバランスが悪いと他の歯にも負担をかけてしまう可能性があります。

インプラント治療をしてしっかり噛めるようになったのであれば、片側で噛むというような癖がある場合は意識して両方バランスよく噛むようにしましょう。

4.インプラントがダメになってしまったときの対処法

 4-1.再手術

インプラントはチタンという素材の特性により骨とくっついて一体化します。これが第二の永久歯と呼ばれるインプラントのメリットの理由でもありますが、そのため抜くときは周りの骨を削る必要があり、抜いたインプラントのまわりには一体化した骨が残っていますので再利用はできません。

しかし、抜いたところの骨を再生すれば新しいインプラントを埋め込むことは可能です。現在では骨をつくる技術も発展していますので負担もそれほど大きくはありません。

ただし、一度埋め込んだインプラントを抜くに至ったのであれば、そこには何らかの致命的な問題があるはずです。骨を再生する手術は難易度が高いですし、再度インプラント治療をするにしても、歯科医院選びやご自身のケアについては見直しが必要になるでしょう。

 4-2.入れ歯かブリッジにする

インプラントは確かにこれまでの治療法のもつデメリットを解消する画期的な治療法ですが、必ずしも誰にとっても最良というわけではありません。

メンテナンスのための通院やご自宅での歯磨きなどあなたがしっかりした意識を持たなければ長持ちせず、結果として高い買い物になってしまいますし、そもそも信頼のできる先生に手術をしてもらわなければ本当の成功はありえません。

歯が抜けてしまったときの治療法は他には入れ歯かブリッジしかありませんが、インプラントを含めそれぞれメリット・デメリットがあります。担当医とも相談してあなたに合った治療を選びましょう。

5.まとめ

インプラント治療は自由診療になるので確かに高額ですが、他の歯にも負担をかけずに10年、20年もつと考えれば決して高い投資ではないと思います。

ここでは治療後に長持ちさせるポイントについて書きましたが、それ以前にインプラント治療において最も重要なのは歯科医院選びです。最初の手術が上手くいかなければ元も子もありませんので、まずは信頼できる先生を選びましょう。



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