口臭の原因は様々ありますが、実はその多くは歯に関連することなのです。
そのこと知ってか知らずか、口臭が気になる人はまず強いミント味歯磨き粉で一生懸命歯磨きをしますが、実はそれだけでは改善しないことも多いのです。
ここでは口臭の原因について説明した上でそれぞれの対策について紹介していきます。
Contents
1.口臭の5つの原因と対策
1-1.お口の中に残った食べかすが原因の場合
口臭の多くはお口の中に棲みついた細菌が食べかすをエサにして発するガスが原因です。細菌は歯垢(プラーク)として存在していますので、常にお口の中を清潔に保つことで口臭の改善が期待できます。
1-1-1.歯磨き
まずはなんといっても日々の歯磨きが大事です。眠っている間は細菌の活動が活発になるので、特に朝起きたときと夜寝る前にしっかり歯磨きをすることを心掛けましょう。食後の歯磨きも効果的ですが、唾液の分泌を妨げないためにも歯磨き粉をつけずに軽く磨くのがおすすめです。
正しい歯磨きの仕方は人生を台無しにする歯磨き7つのNG習慣も参考にしてみて下さい。
1-1-2.デンタルフロス
日本人は欧米人に比べてデンタルフロスの使用率が低いために歯間の虫歯が多いと言われていますが、口臭という面でもそれは同様です。普段フロスを使わない人は試しに奥歯にフロスをかけてみて匂いを嗅いでみて下さい。その重要性がよくわかるはずです。
1-1-3.舌磨き
実は日本人は世界的に見ても歯磨きの頻度は多い方です。実際毎日歯磨きをしている人がほとんどだと思います。そのため口臭の原因となっている食べかすは舌に多く溜まっていると考えられています。これを舌苔と言いますが、舌はデリケートなので歯ブラシでついでに磨くのはNGです。
最近では舌磨き用のケア用品も多く出ていますが、正直どれも使いにくいです。
そこで歯科ゼミでおすすめするのが、介護用の口腔内ケアスポンジです。これにコップに適量注いだノンアルコールの洗口剤(バイオティーンがおすすめ)を染み込ませて舌を優しく拭うようお掃除しましょう。ついでに頬の内側などお口全体もキレイにすると更に効果的です。最後に残った洗口剤でうがいをします。忙しい朝の歯磨き代わりにやるのもおすすめです。
1-1.4.歯科医院で定期的にクリーニングを受ける
いかに丁寧に歯磨きをしていても、どうしても取りきれない歯垢はでてしまうものです。特に食べかすなどが集まることでできる歯石や細菌のかたまり(バイオフィルム)は歯ブラシではどうしようもありません。
歯周病治療からヤニ取りまで!歯のクリーニングの全知識でもその重要性を解説していますが、虫歯などのお口全体の健康チェックもかねて、3ケ月に1回は歯科医院でクリーニングを受けるようにしましょう。
1-1-5.唾液の分泌を促す
口臭の元となる細菌の活動は唾液によってある程度抑えることができます。お口が渇いていると感じる人は以下のような唾液の分泌を促す工夫をしましょう。
- 口呼吸をやめて、鼻呼吸にする
- 良く噛んで食べる、ガムを噛むのもおすすめ
- 唾液腺をマッサージする
- 水分を十分に摂る
1-2.歯周病が原因の場合
いくら丁寧に歯を磨いても口臭が改善しない人は歯周病が進行していることが原因かもしれません。
鏡でお口の中を見て、歯茎が赤く腫れていませんか?歯磨きやフロスをかけているときに歯茎から血が出ることはありませんか?歯茎がむずがゆいときがありませんか?
一つでも当てはまる人は歯周病を疑ってみましょう。
1-2-1.歯科医院での歯周病治療
歯周病は歯周ポケット(歯と歯茎の隙間)の奥深くにたまった細菌による感染症です。つまりこの細菌を除去、殺菌しなければ治りません。以前歯ブラシのテレビCMで、歯周ポケットに歯ブラシの毛先が入り込んで汚れを掻き出すような描写がありましたが、それは理論的に不可能ですので歯周病が進行していると感じたらすぐに歯周病専門医に相談しましょう。基本的には、SRP(スケーリング・ルート・プレーニング)と呼ばれる歯周ポケットの細菌を物理的に除去する治療を行います。
1-2-2.毎日の丁寧な歯磨き
歯科医院で一旦治療を行っても全ての細菌を完全に殺菌することは難しいものです。また、一度歯周病になった人は生活習慣を改善しない限り再発する可能性が高いです。歯磨きなど毎日のホームケアを怠らないようにしましょう。
1-2-3.うがいだけで劇的な効果:パーフェクトぺリオ
パーフェクトペリオという中性の高濃度低分子次亜塩素酸水でうがいをするとお口の中の細菌を一気に殺菌することができます。直後には口臭が改善されるのが実感できると思います。強力な殺菌作用がありながらも人体には無害なのが特徴ですが、うがいだけでは歯周ポケットの奥までは届かないので注意が必要です。
パーフェクトペリオを用いて従来ではできなかった1日での歯周病治療を行っている専門医院もあります。
1-2-4.乳酸菌でお口の中の善玉菌を増やす
歯周病は細菌による感染症と言いましたが、菌のなかには体にとって有益な菌(善玉菌)もいます。善玉菌よりも悪玉菌が勝ってしまうとバランスが崩れて環境が悪化することで歯周病の症状が出てきます。そこで悪玉菌を減らすとともに、善玉菌を増やすことで継続的に症状を改善しようという考えが近年広まっています。
物理的に歯周病菌を除去する歯周外科に対して歯周内科と呼ばれ、一部の歯周病専門医で乳酸菌を増やす内服薬を処方しています。理論的裏付けはありながら、実際の効果のほどは未知数ですので、気軽に試してみたいなら市販の乳酸菌タブレットなども購入できます。
1-3.にんにくなど匂いの強い食品の摂取が原因の場合
にんにくを食べた後はしばらく口臭が気になりますよね。原因となるのはアリシンという物質ですが、実はこのような匂いは口からではなく、最初は肺や胃から、時間が経つと血液に溶け出して全身から発せられるようになりますので、歯磨きなどでは十分な効果は得られません。
1-3-1.食事のときに緑茶や牛乳を一緒に飲む
匂いの原因となる物質を抑えるのに食事の前にまず牛乳を飲むのがおすすめです。また、食事中には緑茶を飲むのも効果があります。ただし、食後時間が経ってからでは効果が半減しますので注意が必要です。
1-3-2.ミントガムやブレスケアを食べる
爽やかなミント味のガムは噛んでいるときは匂いを隠せますがもちろん一時的なものです。また、胃の中から出る匂いに効果があるといわれているブレスケアなどの製品も効果は1~2時間ほどですのであくまで応急処置として使用するようにしましょう。
1-4.蓄膿症や副鼻腔炎など鼻の病気が原因の場合
歯周病などお口の中に何も問題がないときは、他の原因が疑ってみるといいかもしれません。
もしあなたが昔から鼻づまりに悩まされているとしたら鼻の中にたまった膿が匂いのもとである可能性があります。この場合は特に自分の匂いに鈍感になるので気づきにくいものです。耳鼻科で相談してみましょう。
1-5.胃や腸などの内臓疾患が原因の場合
まれにですが、胃潰瘍など胃腸の病気が原因で口臭が発生することがあります。この場合は問題がより深刻である可能性もありますのが、心当たりのある人は専門医にかかることをおすすめします。
2.原因の特定と適切な対処法が知りたければ口臭外来へ
ご説明した通り、口臭の原因はお口の中に問題があることが多いと言えます。そのため最近では歯医者さん(特に歯周病専門医)で口臭外来と称してお悩みの方に特別な診察をするところも増えてきています。
なんとなく予想はできても実際に自分で原因を特定して適切な対策をするのは難しいもの。また、実は口臭は全くなくて心理的要因から気になってしまっているというパターンも多いようです。お悩みの方は一度口臭外来を受診してみるのもおすすめです。
口臭外来の一般的な診察の流れ
1.問診、官能検査
まずは口臭の悩みについて具体的に確認した上で、口腔内を診察し、更に担当医が口臭があるかどうか実際に嗅いで確認します。
2.細菌検査
唾液や歯周ポケット内の細菌を採取して特殊な顕微鏡で細菌の種類や数を調べます。主に歯周病菌の検査になりますが、検査の種類によっては虫歯菌についても調べることもできます。
3.口臭ガス測定
ガスクロマトグラフィーという医療機器を用いて呼気を採取して成分分析をします。口臭の強さだけでなく、そのガスの種類から口臭の原因もある程度特定できます。市販の口臭チェッカーと違い精度の高い検査が可能です。
4.CT検査
歯周病が原因の場合は歯茎の中の骨(歯槽骨)が溶かされて薄くなっている可能性があります。レントゲンではなく3次元的に撮影できるCTで骨の状態をチェックして歯周病の進行度合いをチェックします。
3.まとめ
口臭は生理的に気になるだけでなく、その原因となっている症状は自身の健康にも悪影響を及ぼすものであることが多いです。口臭を気にしながら生活するのも精神衛生上よろしくないですから、気になったら専門医に相談することをおすすめします。