5年ほど前に前歯上6本一体ののインプラント治療をしました。
かつて私がそうだったようにインプラント治療を検討している方にとっては手術から治療後の経過について実体験の感想を知りたいところだと思います。
そこで私自身の体験について話したいと思います。ちなみに私は現在55才男性です。
現在の写真。前歯上6本連結したセラミック歯を3本のインプラントで支えています。
1.インプラント治療の検討
インプラント治療は歯科の中では専門性の高い分野であり歯科医師の技量にはかなりの差があります。
その一方でほとんどの歯科医院がインプラント治療を手がけているため、その選択が難しいのです。
私は幸い歯科医療業界の人間ですので、信頼のできる先生に紹介を依頼し都内でも有数の治療実績を持つインプラント専門医に担当してもらうことができました。(私が直接ご紹介することはできませんがお問合せ頂ければどちらの歯科医師であるかをお教えすることは可能です。)
もし紹介が期待できずネット等で探すとしたらば私なら下記をチェックします。
◎インプラント担当医を探すときの3つのチェックポイント
①学会の資格を保有していること
著名なインプラント学会ではどこでも厳正な審査(面接、 症例発表、 筆記試験など)を経たうえで認定されます。
学会の在籍年数や推薦が必要だったりと、 非常に高いレベルでの条件達成が必要です。やはりこれらの資格を保有していることは安心材料となります。
※資格は認定医、専門医、指導医の順で取得が困難になります。
②治療年数および症例数が多い
ひと言にインプラント治療といっても症例は千差万別です。やはり治療年数および症例数が多い先生の方が突発的な事例にも対応可能で信頼できると思います。
なお、治療年数が多いにもかかわらず症例数が少ない歯科医師もいますのでそこは注意が必要です。
③歯科用CTがある
インプラント治療計画には平面的な撮影をおこなうレントゲンでは不十分でCTを使った立体的な撮影が必要です。
またCTは非常に高価な医療機器であるため症例数が多くないとペイできませんので、間接的にそのエビデンスになるとも考えられます。
症例によっては絶対に必要というわけではありませんがCTの有無は確認しておいた方が良いでしょう。
2.インプラント治療開始後
2-1.インプラント埋込手術の準備
インプラントを入れる場所に残っている歯を抜いて1か月程度回復するのを待ちます。
その間はなくなった前歯6本部分については残った歯に針金で引っ掛けるタイプの部分入れ歯(保険適用)を装着します。
しかし入れ歯はしっかりと噛めないい上に食事の度に食べかすが詰まったりして洗浄する必要があり当初結構なストレスがありました。(慣れればそれほど苦痛というほどでもありませんが。)
2-2.インプラント埋入手術
さて、いよいよインプラント体の埋入手術です。あくまで外科施術の一種なので前日に注意事項を言い渡されたり、当日に誓約書のようなものにサインしたりと結構おお事です。ふと不安がよぎったりもします。
※こちらを1次手術と呼び後に連結部を装着する2次手術もありますが難易度が高いのは断然こちらの1次手術です。
【手術中】
局所麻酔でしたので意識ははっきりとありました。ゆっくりした電動ドライバーのような?もので1本づつインプラント体を埋めていきます。
特に痛みや苦しさは感じませんが口を開け続けていなければならないのが少し辛いところです。
全体としては普通の歯科治療をちょっと長い時間やったかなくらいの感覚でした。
【手術直後】
2~3日は顔がかなり腫れました。特に痛みはありませんが外出は控えたい感じです。最近は術後もあまり腫れないような治療法もあるようです。
2-3.手術後の経過
【インプラント体の定着待ち期間】
埋入したインプラントが骨にしっかりとくっつくまで放置する時間が必要です。これが結構長い。
週に1回程度通院してクリーニングしながら様子を見てもらいますが私の場合万全を期すためなのか半年くらいかかりました。
この期間は日常的に部分入れ歯を常時装着します。
【アバットメントの装着】
インプラント本体が定着したところで、埋め込んだインプラント体の頭を出し「アバットメント」と呼ばれる連結部分を装着するいわゆる2次手術を行います。
こちらの方は手術とはいえかなりあっさりしたもので申し訳ありませんがあまり記憶に残っていません。
【上物(クラウン)の装着】
2次手術から数週間後、いよいよ待ちに待ったセラミックの歯を装着です。装着自体はそれほど大したものではなくセメントでくっつけてかみ合わせを調整するだけですので出血も痛みもなく簡単に終わりました。
装着後に最初に食事をするとき全く違和感のない自分の歯のような噛み心地は感動ものでした。
なにより部分入れ歯におさらばできたのが嬉しかったです。
3.治療後5年経過現在まで
日常的にインプラントであることを意識することは殆どありません。私の場合は前歯なのでたまに綺麗な歯ですねと言われることでインプラントであることをポジティブに思い出すくらいです。
あえてデメリットを上げるとすれば、私の場合ごくたまに外れることがあったくらいでしょぅか。今までに3回くらいありました。(笑)
外れた時は結構ビックリするのですが、単に上物のクラウンを接着しているセメントが弱くなっただけのことらしく歯医者に行けばほんの10分位で付け直してくれます。
強めのセメントにしてもらってからは外れなくなりました。
今はまだ大丈夫ですが、将来的にインプラント歯周炎のリスクもあることは承知しています。
そうなった場合はインプラントが抜け落ちる可能性があるので日常のクリーニングなどのメンテナンスは必須です。
ただ歯のクリーニングはインプラントでなくても必須だと思いますのでそこに特にデメリットは感じていません。
4.まとめ
治療後5年経った現在において一言で言えば、インプラント治療を選択して間違いなくよかったと思っています。
部分入れ歯(インプラント治療期間中に経験済みです)という選択肢を取った場合と比較すると生活の質は高くその差はかなり大きいのではないかと思います。
もちろん治療費はかなり高額になりますので財布との相談も必要かと思いますが、インプラントの5年成功率は上顎で90%、下顎で95%程度とされていますので、まずまず安全性も高く前向きに検討する価値のある治療だと思います。
以上、あくまで私個人の経験にすぎませんが何らかの参考になれば幸いです。