ここ数年歯のホワイトニングのニーズが高まっており、それにともなってセルフホワイトニング事業が注目されています。
2014年9月~の検索キーワード「ホワイトニング」の検索数
セルフホワイトニング専門サロンのほか最近はエステサロンなどでセルフホワイトニングをメニューに導入するところが増えてきました。
そこで今回はセルフホワイトニング事業、メニューの導入を検討されている方にその概要とメリット、必要となる機器等について詳しく解説します。
1.セルフホワイトニングニーズの高まりの背景
1-1.セルフホワイトニングとは
ホワイトニングとは歯を白くする施術のことで歯のケアを大切にする米国では80%の人が日常的におこなっているといわれています。
日本においては従来ホワイトニングは歯科医院でのみおこなわれていましたが、近年お客様が自分で施術をおこなうセルフホワイトニングも認知されつつあります。
1-2.セルフホワイトニングと歯科医院のホワイトニングとの違い
歯科医院でおこなうホワイトニングは過酸化水素という漂白剤を使用するものでこれは医療機関でしか扱うことができません。
一方、セルフホワイトニングでは薬機法等の法律の範囲内で使用可能な成分を使って可能な限り歯を白くすることを目指します。
なお、他人の口の中に触れる行為は医療行為となり歯科医師または歯科衛生士免許をもたないものが施術をすることは違法であるため、お客様自身が施術をおこなう形態となりセルフホワイトニングという名称の由来となっています。
ここで誤解してはいけないのは歯科衛生士の資格があればお客様に施術をしてもいいというわけではないということです。
歯科衛生士は法律で「歯科医師の管理のもと」でしか医療行為ができないため、歯科衛生士単独では施術をすることは違法となります。
1-3.セルフホワイトニングの原理
セルフホワイトニングで使用するホワイトニング剤には通常酸化チタンが含まれています。
酸化チタンは光触媒という性質を持ち、光を照射することにより酸化反応を促進して歯を白くする作用があります。
また表面をコーティングして施術後の歯に汚れを付きにくくする効果も期待されます。
その他、ホワイトニング剤には汚れを落とすための強力な洗浄剤が含まれており、酸化チタンとの相乗効果により歯を白くするのがセルフホワイトニングの原理です。
ただし過酸化水素のような漂白作用はありませんので白くなるレベルには一定の限界があることも知っておく必要があります。
1-4.セルフホワイトニングの手順
セルフホワイトニングは一般的には下記の手順となります。
①お客様自身で歯を磨いてもらう
②お客様自身でホワイトニング剤を歯に付けてもらう
③ホワイトニングライトを10分~20分程度照射する
④口をゆすいでもらう
1-5.セルフホワイトニング流行の理由
最近さまざまな研究により過酸化水素を使用する歯科医院のホワイトニングに近い効果を得られるホワイトニング剤が開発されつつあるというのが最大の理由です。
また過酸化水素を使用するホワイトニングは白くなる作用が強い反面、知覚過敏等の痛みがでるケースが見られます。
その点セルフホワイトニングにおいては痛みのトラブルの心配がないというメリットもあります。
20代~30代の若年層のホワイトニングニーズの高まりを背景に、以上のような理由からセルフホワイトニングが人気となりつつあると考えられます。
1-6.セルフホワイトニング導入サロンの増加
セルフホワイトニングが登場した当初はセルフホワイトニングだけをおこなう専門サロンがほとんどでしたが、最近は美容室やエステ・マツエク・ネイルなど主にビューティー系サロンでの導入が急速に増えてきました。
その結果セルフホワイトニングがより身近におこなえるようになってきました。
2.既存サロンへのセルフホワイトニングの導入
2-1.セルフホワイトニング導入のメリット
エステサロンなど既存の店舗にセルフホワイトニングメニューを導入するメリットは何といっても収益の増加があげられます。
セルフホワイトニングは施術をするスタッフが必要がないためコストが殆どかかりません。
材料費・消耗品費はお客様1回あたり400円~500円程度です。
一方、料金はお客様1回あたり4,000円~5,000円程度が相場ですので客単価3,500円以上の純利益が見込めるためサロンの収益アップには非常に有効といえます。
2-2.セルフホワイトニング導入に必要なスタッフ
セルフ式のため施術するスタッフは必要ありませんが、手順について簡単に説明する人員は必要です。
受付スタッフなどで十分兼務できる程度の業務量です。
もちろん免許や資格は必要ありません。
2-3.ホワイトニングを導入するサロンの向き不向き
受付スタッフなどを専任で置いているサロンは追加の人員なしで収益を増やすことができるため導入するメリットが大きいといえます。
しかしセルフホワイトニングは人手がほとんどかからないとはいえ、お客様の人数によっては本業の施術スタッフが掛け持ちすることはなかなか難しくプライベートサロンなどスタッフひとりで運営するサロンなどは導入に不向きかもしれません。
3.セルフホワイトニングに必要な機器・備品
3-1.セルフホワイトニングに必要な機器【追記あり】
ホワイトニング剤に含まれる酸化チタンを触媒として働かせるためには光を照射する必要があり、通常は専用のLEDライトを使用します。
LEDライトはその機能上分類は医療機器ではなく美容機器となりますので免許がなくても購入・使用は可能です。
※薬事法第2条に医療機器の定義として「人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用される機器であって、人または動物の身体や組織の構造または機能に影響を及ぼすことを目的とされている機械器具」とあるため当初ホワイトニング照射機器は医療機器に該当しないと考えておりましたが、当局に確認したところ解釈の間違いであることがわかりました。詳しくは下記追記を参照ください。
(2017年10月11日追記【重要】)
東京都 福祉保健局 健康安全部 薬務課(連絡先: 03-5320-4511)に確認したところ、歯のホワイトニング用の照射器は用途が歯科医院のオフィスホワイトニングかセルフホワイトニングにかかわらず、また製造が国内・国外に関係なく全て医療機器に該当するため厚生労働省から医療機器として承認を受けていないものを販売・貸与することは明確に医薬品医療機器法(旧薬事法)違反となるとのことです。(日本で未承認の医療機器を製造・販売することは厳しく規制されており違反したものには刑事罰が科される可能性があります。)
購入・使用自体は違法とはなりませんが、後々のトラブルを避けるためには購入に際しては医療機器として承認を取得していることを確認するべきでしょう。
※ただし現実には国内で医療機器として承認を受けているホワイトニング照射機器はごくわずかしかなく、通常は歯科医院向けとして販売されていますので入手は困難だと思われます。
海外製品特に中国製のものなどはネット上でかなり安く売られていますが、それらは通常国内での医療機器承認は受けていないため法律上日本の業者を通じて購入することはできません。(実際ネットで販売しているのは日本語サイトであってもほとんどは中国の業者です。)
従って必然的に海外業者を通じた個人輸入という形となるのですが、個人輸入での入手は現実には非常にトラブルが多いのです。
というのも税関では医療機器と美容機器の分別が困難なため、歯のホワイトニング用の機器の輸入に際しては通常薬監証明として歯科医師免許の提示が求められるからです。※海外の業者は税関で輸入を止められても通管までの責任はもってくれませんのでご注意ください。
従ってセルフホワイトニングの導入にあたってはこのLEDライトの入手が最大のキーポイントとなります。
3-2.セルフホワイトニングに必要な設備・備品
3-2-1.マウスオープナー
LEDライトを照射をする際には歯に光がきちんと当たるように口を開けたままにするための器具を装着します。
このマウスオープナーは衛生面から使い捨てが必須です。
マウスオープナーも通常は歯科医療用に製造されているため一般に販売されているものは殆どありません。
しかし探せば通販で購入できるものもあり1個150円~200円程度で入手可能です。
3-2-2.歯磨き剤およびホワイトニング剤
セルフホワイトニングでのは通常の歯磨き粉よりも強力に汚れを落とすための歯磨き剤を使用するのが一般的です。
またライトの照射時には酸化チタンを含んだホワイトニング剤を使用します。
こちらは市販のものはないので専門メーカーから入手する必要があります。(2017年10月11日追記:薬務課の説明によるとこちらも販売には医療機器として承認が必要とのことです。)
このホワイトニング剤の入手がセルフホワイトニング導入にあたっての第二のキーポイントです。
コストは1人あたり250円~300円程度となります。
3-2-3.チェア
リクライニングできるチェアがあればベストですが、通常のチェアでも施術は可能です。
マツエクやネイルのチェアは通常そのままで使用できます。
新たに導入するのであれば、リラックスできる電動リクライニングチェアが良いでしょう。
ビューティーガレージのシフォン(55,800円)などがおすすめです。
電動ラウンジチェア シフォン
3-2-4.洗面設備
お客様が歯を磨いたりゆすいだりするための洗面設備が必要となります。
洗面設備がない場合や不便な場所にある場合は簡易の洗面設備を設置することで対応可能です。
また効果を確認するための鏡が必要ですが、固定鏡がない場合は手鏡でも代用できます。
3-2-5.お客様毎の使い捨て消耗品
その他に衛生面からお客様毎に交換する使い捨ての下記消耗品が必要となります。
・歯ブラシ
・紙コップ
・紙エプロン
コストはすべて1個につき10円以内と非常に安価です。
4.まとめ
セルフホワイトニングは人件費が殆どかからないため、ビューティー系サロンへの導入が増えています。
導入するにあたっては最初に専門的な機器や備品が必要となりますが、導入後はわずかなランニングコストで収益アップが可能です。
サロンやジムなどを経営されている方はメニューへの追加を一度検討してみる価値があると思われます。
ただし、LEDライトやホワイトニング剤など一般には国内で入手困難なものがありますのでその点をクリアする必要があります。