進行した歯周病でも歯は残せる!現代の歯周病治療最前線

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歯を失う最大の原因は歯周病でその4割以上を占めます。

その症状は【初期】歯肉炎~【中期】歯周炎~【後期】歯槽膿漏と徐々に進行していきます。

厚生労働省の調査で日本人の成人の約8割が歯周病というほど多くのひとが罹っている病気なのですが、初期から中期にかけては日常的にほとんど症状がないため気づきにくいのが特徴です。

歯周病のチェック方法については「今すぐできる!歯周病のチェックと予防のための5つの生活習慣」を参照ください。

後期に入ると歯がぐらつき始め、ものが上手く噛めなくなり、放っておくと抜歯を余儀なくされます。

大事な歯を失うようなことにならないように歯周病の段階毎の適切な治療法を紹介します。

1.【初期】歯肉炎の症状と治療法

歯肉炎は歯茎が赤みをおびて軽い炎症が起こっている状況ですが、痛みは殆ど感じることはありません。

この段階においては正しいブラッシングをして歯垢を残さないようにすること(プラークコントロール)が基本となります。

また、定期的に歯科医院にて超音波の機械などを使った歯のクリーニング(PMTC)をおこなうことによって歯垢が固まってブラッシングでは取れなくなった歯石を取ってもらうことにより治療可能です。

2.【中期】歯周炎の症状と治療法

歯周病が進むと歯茎が強い痛みとともに腫れるようになり指で強く押すと動く感じがします。

治療法は【初期】と同じくプラークコントロールとPMTCが基本となりますが、歯周病の症状によっては局所麻酔をしてから歯周ポケットに詰まっている歯垢や歯石を取る歯周ポケット掻爬術(そうはじゅつ)が必要となります。

3.【後期】歯槽膿漏の症状と治療法

さらに歯周病が進行すると膿が出て歯がぐらぐらする状況になります。

この段階になると通常の歯石除去では効果が期待できず、より高度な治療が必要になります。

ここでは従来の方法から最近の新しい治療法まで重度の歯周病に対する治療法を紹介します。

3-1.フラップ手術

進行した歯周病に対して従来よりおこなわれている一般的な治療法であり、局所麻酔をしてから歯茎を開いて歯の深いところの歯垢や歯石を取り除く治療法でフラップ手術と呼ばれています。

メリットとしては難易度はそれほど高くないことと、また保険が適応されますので安価に治療が可能です。

デメリットとしては完全に歯周病菌を取り除くことは難しいため、歯周病を根治する効果までは期待できないという点です。

また外科的手術ですのでやはり術後の痛みなど回復までにはある程度の時間が必要です。

3-2.GTR法

フラップ手術の場合歯槽骨が再生すべきスペースに再生スピードの速い歯茎が先に入り込んで歯槽骨の再生を邪魔してしまう可能性があります。

その点を克服するべくGTRという治療法が開発されました。

これはに人工の膜を置くことによって歯槽骨が再生するスペースを確保しようという治療法です。

ただし使用する人口膜によって保険適用のものと適用外のものがありますので事前に確認が必要です。

インプラントネット「GTR(組織再生誘導)」

3-3.エムドゲインゲル法

GTRの人工膜の代わりに豚の歯胚組織からつくられたタンパク質の一種を主成分としたエムドゲインゲルという液剤を使う方法があます。

エムドゲイン療法では使われるゲルが歯周組織の再生を促進し、またゲルは自然に体内に吸収されるので後から取り除く手術の必要がないためGTR法よりも難易度が低いというメリットがあります。

ただしエムドゲイン療法は保険適用外ですので一般的に治療費が高額になってしまうといったデメリットがあります。

またこれら高度治療は一般の歯科では対応できないこともありますのでいずれにしろ歯周病の専門医に相談することをおすすめします。

4.歯周内科治療(補足)

一般的に歯周病の治療には外科治療が選ばれてきました。

しかし最近は薬で治療する歯周内科治療が注目を集めています。

歯周内科治療とは歯周病の原因菌に有効な薬で治療を目指すものです。

歯周病菌に効果がある「ジスロマック」という抗生剤を処方することが多いです。

ただし実際には歯周病を薬だけで完治することはほとんど不可能ですので、従来の外科的手法と併用して外科治療を進めていくのが現実的です。。

歯石を徹底的に除去する外科的治療と併用することによりより高い治療効果が期待できます。

また次亜塩素酸という殺菌能力の高い薬剤を使って歯と歯茎の間を徹底的にクリーニングすることによって歯周病菌を全滅させることを狙った効果的な治療法も出てきています。

ただし歯周内科治療は現在のところ保険適用外の自由診療となります。

5.まとめ

歯周病は非常に一般的な感染症ですが初期のうちは症状がほとんどなく気づかないうちに進行していることがあります。

初期のうちにケアすることが何より大切ですが、進んでしまった歯周病でも最近は効果的な治療法がでてきており抜歯せずに治療できる可能性が高くなりました。

ひどい症状の場合でも諦めずに一度専門医に相談することをおすすめします。



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