矯正治療は費用が高額なだけでなく医院によって料金も様々で、結局どれだけかかるか、どこを選べばいいのか不安になっている方も多いと思います。
ここでは矯正治療にかかる費用の内訳について詳しく解説した上で、費用の負担をなるべく少なくするコツや選ぶ際の注意点についてまとめました。
1.矯正治療にかかる費用の内訳
表側矯正 | 裏側矯正 | マウスピース矯正 | |
カウンセリング代 | 無料~5,000円 | 無料~5,000円 | 無料~5,000円 |
検査代 | 20,000円~50,000円 | 20,000円~50,000円 | 20,000円~50,000円 |
装置代 | 60万円~80万円 | 100万円~150万円 | 50万円~100万円 |
調整代(1か月毎) | 5,000円~10,000円 | 5,000円~10,000円 | 2,000~5,000円 |
その他(抜歯など) | 1万円~ | 1万円~ | 1万円~ |
合計(治療期間2年の場合) | 75万~110万円 | 110万~180万円 | 55万~120万円 |
1-1.カウンセリング料(初診相談料)
無料~5,000円程度
初診料です。時間は30分~1時間程度で、基本的には治療イスには座らずに担当医と治療についての相談をするだけというかたちになります。最近では初診相談を無料にしているところも多いです。
1-2.検査料
20,000円~50,000円程度
詳細な治療計画を立てるための精密検査です。実際にお口の中を見て、レントゲンや口腔内カメラによる画像診断を行います。
1-3.装置代
一般的に矯正の治療費とされているメインとなる部分です。使用する装置によって変わります。ワイヤーを使った矯正に関してはほとんど技術料なので難症例で治療期間が長くなるほど金額が高くなることがあります。
1-3-1.表側矯正
60万円~80万円
歯の表側にワイヤー装置をつける最も一般的な矯正方法です。基本的には素材は銀色の金属ですが、最近ではプラスチックやセラミックなどの白くて目立たない装置も出てきています。このような素材を使った場合はプラス2万円~5万円程度になります。
1-3-2.裏側矯正
100万円~150万円
歯の裏側にワイヤーをつける矯正です。目立たない矯正として最近人気ですが難易度が高く、歯科医院側の手間も増えるため表側矯正に比べて高額になります。
1-3-3.マウスピース矯正
50万円~100万円
マウスピース矯正は一定期間ごと(大体3週間)にマウスピースを付け替えて徐々に歯を動かしていく方法です。そのため治療期間が長くなればなるほど作成するマウスピースの数が増えるので大きく費用が変動します。
1-4.調整料(再診、クリーニング代)
5,000円~10,000円
ワイヤー矯正の場合は1か月ごとに治療経過を見てワイヤーにかける圧力を変えるために通院するのが一般的です。その際にかかるのが調整料です。歯磨きが苦手な人はセットで毎回クリーニングをやってくれるところがおすすめです。
マウスピース矯正は大体3週間ごとに新しいマウスピースに付け替えていくのでそのタイミングで治療経過を見るために通院するところが多いです。このときはお口の状態を見て何もなければ次の新しいマウスピースを渡されるだけですが、再診料として2,000円~5,000円程度かかります。
2.オプション代
上記の一般的にかかる費用に加えて、治療計画によっては以下のような費用が別途かかる場合があります。
2-1.抜歯の治療費
10,000円 / 1本
親知らずなどと違い、矯正のための抜歯も保険外治療となります。顎の大きさに比べて歯の本数が多く入りきらないときなど抜歯をする場合は小臼歯(前から数えて4番目)を2本抜くのが一般的です。
2-2.インプラント
2万円~5万円 / 1本
ミニインプラントを歯茎に埋め込んでそれをアンカー(支台)にすることで効率的に歯を動かします。基本的には片顎につき左右1本ずつ埋め込むのが一般的です。
2-3.装置が破損したときの修復費用
無料~50,000円
ワイヤー矯正の場合は固い物を食べたりするとワイヤーが切れたり歯に貼り付けてあるブラケットが取れてしまうことがあります。
2-4.外科手術の治療費
重度の受け口や開咬、出っ歯など歯並びだけでなく顎の形に問題があるケースでは外科手術が必要になることがあります。顎変形症と診断された場合は保険が適用されます。
・矯正歯科医院
矯正治療費 60万~80万円(保険適用3割負担の場合:30万円前後)
・外科手術を行う医院
手術費用+入院費 40万~60万円(保険適用3割負担の場合:20万円前後)
・手術+入院費+矯正治療費 合わせた総額
100万~150万円(保険適用3割負担の場合:40万円前後)
実際には高額療養費制度が適用されると思いますのでもう少し負担は抑えられます。
3.費用の負担をなるべく軽くする5つのコツ
3-1.少なくとも2~3か所で相見積をとる
同じ症状・治療法であっても先生によって治療計画は変わります。また矯正治療は自由診療であり費用の内訳はほぼ技術料ですので、相場はありますが医院ごとに料金に幅があります。
ただし“技術の高い医院は費用が高い”というわけではないので注意しましょう。その医院の経営状態や方針によりますが、基本的には場所の良い(テナント料が高い)ところは料金が高くなる傾向にあります。
また見積もりの段階で曖昧な金額の提示しかしてくれないところは注意しましょう。
3-2.分割払いやデンタルローンを活用する
高額な矯正治療費でも分割なら支払いやすくなります。一般的なクレジットカードや多目的ローンでの分割払いよりも上限額が高く金利も優遇されているデンタルローンがおすすめです。
スルガ銀行、ジャックス、千葉銀行、新生銀行などがサービスを提供していますが、治療を受ける歯科医院が加盟している必要があります。基本的には安定した収入のある成人の方であれば利用可能ですが審査があるので注意しましょう。分割手数料や金利を医院側が負担してくれるケースもありますので事前に確認して下さい。
またこういったローンを利用せず医院独自で分割払いに応じてくれるところも意外と多いです。初診のカウンセリング時に遠慮せず相談してみましょう。
3-3.プチ矯正でもできるかどうか歯医者さんに相談してみる
矯正は見た目だけでなく顎全体の咬み合わせを改善するのが大事な目的ですので基本的には上下全ての歯に装置をつけて全体を動かして治療をしていきますが、簡単な症例の場合で最低限の見た目だけ良くできればいいという患者の希望があれば部分的な矯正をすることも可能です。
前歯のみを治療するケースが多いですが、気になる部分にだけ装置をつけて歯を動かすか、その歯だけ削ってセラミックの歯を被せて形を整えるという方法があります。
3-4.医療費控除を申請すると治療費の一部が戻ってくる
医療費控除制度とは、1月から12月までの間に、本人または家族が支払った医療費が10万円を越える場合に、確定申告をすれば税金の還付が受けられる制度です。
3-5.従業員割引制度のある歯科医院で働く
裏ワザ的な方法ですが、特に矯正専門医院では従業員に対して治療費の割引を行っているところが多いです。歯科助手や受付であれば資格がなくても大丈夫ですので、興味のある人は求人サイトなどで、“従業員割引制度あり”といった記載のあるところを探してみて下さい。
4.費用を比較検討するときの注意点
4-1.費用の内訳と総額を事前に確認する
何にどれだけかかるか費用の内訳とともに、追加料金の発生や毎回の調整代も含めた総額がいくらか事前にきちんと確認しましょう。
最近ではトータルフィーと全てコミの料金で提示しているところもあり、わかりやすくておすすめです。
4-2.自身の健康、治療の質が第一
部分矯正やセラミックでのクイック矯正などは治療費が比較的安く、治療期間も短くなるので近年人気が高まっています。
しかし咬み合わせなどの機能面を無視した治療によるトラブルも多く報告されていますので注意しましょう。
5.まとめ
特に大人の矯正治療は美容目的だと思われることも多いですが、本来は健康的な食事と体全体のバランスを保つために咬み合わせを正しく整えることが目的です。長期的に見れば自身の健康にとって決して高い買い物ではないと思います。
もちろん費用の検討も大事ですが、絶対に失敗しないための矯正歯科の選び方12のポイントでも説明している通り、信頼できる専門医選びが肝になりますので、じっくりと情報収集に時間をかけることをおすすめします。