歯科医院開業で成功するために-費用・資金調達・集患戦略のポイント

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歯科医院経営を取り巻く環境は年を追うごとに厳しくなってきておりその中で新規に開業するのは大変リスクが高いのが現状です。

今回は歯科医院を開業するにあたって必要な資金とその調達方法、そして成功するために何より大切な集患戦略について説明します。



1.必要資金

歯科医院の開業には設備や高額な医療機器が必要でありトータルでは多大な資金が必要です。

その大きく分けて開業準備資金と運転資金の2つになります。

1-1.開業準備資金

(モデルケース)ユニット3台、25坪、賃貸家賃35万円程度の場合

1-1-1.賃貸契約費用

総額300万円~500万円

賃貸物件の場合、仲介手数料は家賃の1か月分、敷金・礼金は通常家賃の6か月~10か月分、また契約時に当月分の家賃が必要となります。

1-1-2.内装工事費用

総額1500万円~2000万円

設計費用と工事費用がかかります。どれくらいの内装をするのかによって大きく異なりますが、一般的には坪単価50万円程度で計算すれば良いでしょう。

1-1-3.医療機器費用

総額 1200万円~1500万円

最も大きいのがユニットチェアで新品1台300万円~です。費用を抑えるには中古で探すという手もあります。

また条件によってはリースで月払いにできる場合があります。

1-1-4.備品什器費用

総額 300万円~500万円

診療所内で使用する医療器具や什器、デスク等家具、PC、電話、洗濯機などの電気製品、レジ、タイムカード、文具など細々としたものにかかる必要です。

1-1-5.その他の費用

総額 200万円~500万円

大きなものに開業時の広告宣伝費とスタッフの採用費用があります。特に歯科衛生士は最近採用が難しく簡単には採用できないので注意が必要です。

つまり、開業準備資金 は上記を合計すると3500万円~5000万円にもなります。

やはり内装工事と医療機器が大きなウエイトを占めますのでこれをいかに抑えるかがポイントとなります。

1-2.運転資金

開業してからすぐに収益が十分に上がることは期待しないほうが良いでしょう。患者さんが徐々に増えて収入が安定するまでは時間がかかるのが普通です。

また保険診療については医療機関に診療報酬が支払われるのは、診療行為を行った月の翌々月の20日頃になるためその間の資金繰りも考慮する必要があります。

さらに借り入れをした場合はその直後から一定額の返済が始まります。

そのため開業当初は当面収支が赤字運転となることが考えられますので運転資金は月額経費の6か月分程度、あるいは開業資金の30%、1000万円~1500万円程度を開業準備資金とは別に見ておきたいものです。

2.資金調達の方法

2-1.銀行融資

最近は歯科医院が過当競争でリスクが高いと判断されているのか、大手都市銀行は開業時の無担保融資には通常応じてくれません。

都銀ではみずほ銀行が診療所開業者向け「みずほクリニックアシスト」という無担保融資上限5000万円という融資限度額の融資制度を扱っていますので相談の価値があるでしょう。

2-2.信用金庫融資

一般的に銀行よりも地域に密着した信用金庫の方が融資の可能性は高いといえます。

ただし融資金額は低くなることも考えられます。

2-3.公的融資

さらにハードルが低いものとして日本政策金融公庫の融資制度があります。

これは国が創業する人を積極的に支援するための制度ですので、承認されれば7200万円までの融資が受けることが可能です。

いずれにしても最低限500万円~1000万円程度の自己資金を用意していることが必要だと思われます。

2-4.開業資金を劇的に抑える裏技

数千万円単位の開業費のリスクはとても負えないという方には、売りに出ている歯科医院を買うという方法もあります。

何らかの事情で廃業を考えていて医療機器や患者などの有効資産を活用したいという歯科医院が一定数あるため、歯科医療業界ではこのような市場が成立しています。

立地などの条件が自分の希望ど合えば数百万円程度の格安金額で開業できる可能性があります。

具体的な物件情報を知りたい方は下記のサイトが参考になります。(無料登録が必要です)
居抜き物件専門!!REデンタルネット

3.開業支援業者に騙されない

ネットで「歯科医院 開業」と検索すると開業セミナーや会計事務所、ホームページ作成業者など開業支援業者の広告が多くみられます。

それらの内容を見てみると「成功の秘訣」がまことしやかに語られています。

しかし表面的にはその通りかなと思うことでもよく考えてみればおかしなことが多々あります。

いくつかその例を上げて説明します。

3-1.立地調査が成功の鍵のウソ

開業候補地の周囲半径〇mに歯科医院がいくつあるかを調べましょうなどというコンサルタントがいます。

確かに開業時には確認すべきことのひとつかもしれませんが、それはあくまで参考になる程度の話です。

例えば現時点で商圏に2軒の歯科医院しかないので大丈夫と判断したとしても、開業後に別の歯科医院が1軒出来たとしたらそれだけで理論上25%の患者減となります。一般的に売上が25%下がると経営は非常に苦しくなります。

今後何十年にわたって自分の商圏に他の歯科医院ができないなどと考えるのはかなり楽観的すぎると言えるでしょう。

3-2.ホームページ&SEO対策で売上アップのウソ

少し考えてみればわかると思いますが、ホームページが綺麗だからという理由で歯科医院を選ぶ方がどれだけいるでしょうか。

またSEO対策で検索サイトで上位表示しますという売り文句の業者もあります。確かに「〇〇(地名) 歯科医院」というキーワード等で上位に表示されれば集客に効果があるように思えます。

しかし自分が患者さんの立場で考えればわかるように、医院選びの際はホームページの綺麗さや上位に表示されているという理由などでではなく、自分にとってその医院あるいは医師本人がもたらしてくれるであろう実質的な価値によって判断するはずです。

また、近年Googleの検索結果でさえも同じ視点で評価しており、サイト訪れる人にとって価値ある内容のページを上位に表示するようになりました。

従って表面的なSEO対策は全く効果がありません。

(余談ですがもしこのサイトが「歯科医院 開業」で検索順位が低いとすれば歯科医院の開業を考えている方にとって価値の低いサイトであるということです。)

3-3.内覧会で集患のウソ

歯科医療業界では開業時の「内覧会」という他業種から見ればまことに不思議な慣習があります。

このようなもので顧客が簡単に獲得できるのなら他の多くの業種、例えばエステティックサロンや美容院、学習塾などがなぜ同じことをやらないのでしょうか。

その理由は単純で内装やスタッフの顔を見ただけでお客様になってはくれないからです。

はっきり言って内覧会に来る目的は単なる暇つぶしか粗品目当です。

分譲マンションならともかく誰も歯科医院の内装などに興味はありません。

よく似たものとして飲食店オープンの際におこなう「レセプションパーティー」というものがあります。

これは比較的多くの人が集まりますがあくまで社交と無料の飲食が目的ですので、オープン後の集客には殆ど効果がないことが常識です。

4.最も大切なのは戦略

では開業する上で最も大事なことは何でしょうか。

もちろんそれは安定した収入を上げる方法、つまり集患戦略です。

たとえ近隣に歯科医院が増えようが全く影響を受けないくらいでなければなりません。

4-1.差別化はできているか

集患戦略の中も最も重要なことが差別化です。

患者さんがあなたの医院を選ぶ理由は何ですかという質問に明確に答えることができなければ差別化はできていません。

4-2.技術で集患できるは間違い

差別化の理由で治療技術が優れているというのはどうでしょうか。

もちろんそれは大切なことですが残念ながらすぐに集患に結び付くことはありません。

なぜなら歯科医院の場合、9割以上の患者は技術が優れているかどうかはわからないからです。

逆に痛かったとか手際が悪かったなど患者がわかるのは下手な場合だけです。

特に保険診療の場合はできることが限られているためとりあえず治療が痛くなければ上手いなどということになり、殆どの場合差別化できないのが現状です。

4-3.ターゲットを絞る

今の時代特徴のない歯科医院は既にあふれています。これから新たに開業するためにはまずどの年代のどのようなニーズの患者をメインにするのかをはっきりとすることが大切です。

もちろん当然それによって開業すべき立地も変わってきます。

4-4.アピールポイントを明確にする

ターゲットが絞れたらその治療を全面的に打ち出し、この治療なら他には負けないというアピールポイントをつくることが大切です。

何でも一通りできますというよりこれは他より優れている、あるいはここが他の歯科医院とは違うという部分を作ることが集患戦略の最大のポイントです。

5.まとめ

歯科医院の開業は年々減少の一途を辿り最近の若い歯科医師は開業を考えていない方が殆どというのが現状です。

現実的には開業には多額の資金が必要で、大きなリスクを取っておこなうには非常に勇気が必要であることは確かです。

しかしそのような状況だからこそ、きちんとした集患戦略を持って開業できれば成功する可能性が十分にあります。

開業を検討している歯科医師はその点を一度よく考えてみることをおすすめします。

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